彷徨とは精神の自由を表す。
だが、そんなものが可能かどうかはわからない。
ただの散歩であってもかまわない。
目的のない散歩。
癇癪館は遊静舘に改名する。
癇癪は無駄である。
やめた。静かに遊ぶ。
そういった男である。

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■四月某日

No.641

夕方、朝日カルチャーセンター。それまで寝ている。
■四月某日

No.642

終日休む。
■四月某日

No.643

世田谷パブリックへ。

その後、吉田鋼太郎氏らとわいわい飲む。いろいろな人がいる。

コータローと飲むのは久しぶりで、実に楽しい。最近、肝臓の数値が高いそうだが、大絶好調で、パンツまで脱ぎだし、隣の奥さんが隠すつもりだったのか、しっかとチンポをつかんで離さず、というのは真っ赤な嘘。

自分を最近誘ってくれないと文句をいうが、コータローが忙しいんじゃねえかよ。

でもまたやるからね。

この人の人徳のなさはある意味役者の鑑だわ。たいしたもんだわ。

そういうわけで深夜、帰宅のタクシーに乗っていると、246を自転車で走っている山田山子を発見。すさまじい形相でペダルを漕いでいる。タクシーは徐行中でほぼ平行に並んでしまい、うわっとシートに身を沈めて隠れる。

深夜2時過ぎになにを必死に自転車を走らせているのだろうか。去った男を追っているのだろうか。とにかく、へなへなのスカートから白いパンツ丸出しである。
■四月某日

No.644

執筆。

夕方、昔住んでいた富久町界隈を散策して付近の桜を愛で、夜、新井薬師で花見。堪能する。ニッカボッカーを履いた若い集団がけんかを始め、警官達が大勢やってくる。警官達も若く、みんな元気でよろしい。
■四月某日

No.645

そううわけで風邪、再発し、終日遊静館にこもる。

クローネンバーグの『スパイダー』が見たい。
■四月某日

No.646

テレビで中山忍を見ながら、彼女と結婚した人は辻君がお兄さんになるんだな、大変だなとふと考える。

執筆。

夜、新宿『千草』で飲み会。私を入れて都合四名。誰だかはヒ・ミ・ツ。

バーに流れて、久々に情報屋に会う。「おもしろいネタがありますぜ、ダンナ」というのでオールドパーをおごって幾つかの情報を得る。なんであるかはヒ・ミ・ツ。

ふふふふふふふっ。フフフフフフフッ。麩麩麩麩麩麩麩麩麩麩っ。

聞きたい人は私に何かおごるように。
■四月某日

No.647

目を覚ますとバクダッドが陥落のニュース。

フセイン像を倒し、アメリカ兵を歓迎している映像。ホントかよ。この映像、ハリウッド製じゃねえだろうな。

『スパイダー』を見る。
■四月某日

No.648

『デアデビル』を見る。『昼は盲目の弁護士、夜はデアデビル」という馬鹿馬鹿しいキャッチに引かれて。

相当くだらなくていいのだが、演出がへたくそで馬鹿馬鹿しいまでの境地に達していない。ティム・バートンとかサム・ライミみたいに意識しておバカをやるんじゃなくて、本当に馬鹿馬鹿しい、つまり撮っている人間が大真面目でくだらないのが見たい。

しかし、デアデビルってストイックで禁欲的でマゾヒスティックな男とばかり思っていたら、ちゃんとナンパもしやがんの。まあ、気晴らしも必要だよ、人間は!

夜、朝日カルチャーセンター。
■四月某日

No.649

書きすぎ、飲みすぎでほとんどグロッキー。しかも雨。湿気にやられるぼく。

サウナに行き、びしびし汗をかき、ぐびぐび水分を飲む。それで下痢になり、さらにグロッキー。

コーヒー牛乳とサンペレグリノを一瓶飲んだのが良くなかった。

それにしても『en−taxy』はよく読むとつまらない。小説がちーともおもろないわ。
■四月某日

No.650

明らかに過労。

いくらでも眠れる。横になると眠りに落ちる。

選挙には行かず。石原に決まってるだろ。

夜、チャンネルをザッピングしていると『サンダーバード』をやっているのでびっくり。アメリカの金持ちの一家が道楽で人助けするやつ。こいつらも世界の警察気取りだ。

その後『ひょっこりひょうたん島』をやるのでますますびっくり。ドン・ガバチョの声は確か藤村有弘だったと思うのだが、ここでは名古屋章。どういう事情?

おしえーて井上さーん、おしえーてひさしーさん。
■四月某日

No.651

やや回復。

出来上がったばかりの戯曲の最終チェック。

高田馬場芳林堂で資料探し。

それにしてもアメリカの世界戦略ってのは、ほとんど口あんぐりもので、これを人間関係に置き換えたときのことを考えると、ほんと恐ろしい。権力を持った人間が自分の言うこと聞けと圧力かけまくりするわけだ。
■四月某日

No.652

今日より森下スタジオ入り。

『ハムレットクローン』始動。オーディション、ワークショップ等々を経て、2000年版とはまた違うものをこしらえるつもり。

この夏、第三エロチカも大胆に再編させる。社会不適応者のリハビリ施設としての集団性をとことん切断する。
■四月某日

No.653

稽古。

オーストラリアからラッセルがやってくる。『ロスト・バビロン』の英語上演計画のためである。
■四月某日

No.654

いろいろおもしろおかしい、えぐいことなど多かりしが、書けなくてもうしわけないっす!これは浅草の洋食屋ヨシカミのコピーの真似ね。うますぎてもうしわけないっす!ヨシカミはまあうまいけど、謝ってもらうほどじゃない。

引き続き作家モード突入中だが、このモードだと人間の業が深くなったようで精神的にはよろしくない。作家が性格の悪い、人間性最低のやつが多いのがよくわかる。確信をもっていうが作家に人格者なんかいねえぞ。演劇人にもいないけど。滅多にはね。

稽古。

坂本の家のベランダに知らないうちに鳩が巣をつくって卵を二個生んだということだ。食ったら腹こわしたって。それと窓の外の桜の木から毛虫が飛んでくるので、頭にきて切ってしまったという。

その会話を聞いていた哀藤は「飛んでくる毛虫」に驚いている。

いっぽう笠木はやたら鳩とは飛んでいる鼠のようなものだと顔色を変えて力説している。

帰り、人気の大衆酒場『山利喜』で煮込みを食べる。ここは行列の店だったのだが近くに別館を新築し、やっと落ち着きを取り戻している。よろしい。行列の必要な大衆酒場があっていいものか。
■四月某日

No.655

新国立へいく。

別役戯曲の演出は難しい。少年の頃『マッチ売りの少女』をラジオドラマで聞いて感動した。もともと人物の顔が見えないような戯曲だからラジオドラマがいっとうあっているのではないか。

新宿で寿司食って帰る。

最近なぜか楽しみの『タモリ倶楽部』を集中して見れない。

『舞台芸術』の最新号が送られてくる。先週くさしたが、けっこうがんばってるよな。いいよ。つまんないのもあるけど。

あーあ、いろいろあるんだけど、書けなくてもうしわけないっす!

ヒントは、「春がきて、君はキレヂになった。去年よりずっとキレヂになった」
■四月某日

No.656

執筆。

夜、タランティーノを再見する。

ヨシカミのハヤシライスを食べる。といっても行ったのではなくてレトルトにされた具を溶かして。
■四月某日

No.657

休日のつもりが、戯曲のなかの人物達が頭のなかで勝手にしゃべり、動いていて落ち着かず。

『笑点』見て、弛緩、心なごませる。

夜、談志を聞く。
■四月某日

No.658

三茶で打ち合わせ。

青山一丁目から歩いて文学座アトリエで『ホームバディ/カブール』を見る。

反米を唱えてりゃ、とりあえず人とみなされる当節受けるのは確実な劇だが、私のなかではクシュナーは確実に株が下がった。社会派と呼ばれる連中の安易さ、正義感ぶりは辟易する。
■四月某日

No.659

執筆。乗らない。

夕刻『ドリームキャッチャー』を見る。なんら予備知識なく、ローレンス・カスダンなのでスタイリッシュなスリラーかサスペンスかホラーかと予想していたところ、なんだ、こういう映画かよ。

もう怪獣が出てきた時点で鼻白む、鼻白む。しかも例によって世界の平和を守るアメリカだよ。サンダーバードだよ。

それでたまに良心見せようと思って『ホームバディ/カブール』みたいの懺悔のつもりで書くわけだ。

勝手にやってりゃいいが、なんでそれを日本人がやってやらなきゃなんないのかが、一番わからない。

なんで馬鹿な英米人を日本人が演じてやんなきゃならないのか、ということです。
■四月某日

No.660

執筆。

稽古。

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