ワーク・イン・プログレス
川村 毅
この公演は来年二月の本公演に向けてのワーク・イン・プログレス、すなわち途中経過報告です。現在日本において新作戯曲による上演がこのような過程を経て上演されることは珍しいですが、すでにヨーロッパではしばしば目にすることです。まずリーディングが行われ、作家もそのときの観客の反応を見て書き変え、足し、削り、次第に照明などを入れてさらに発表し、再び作家、演出家、俳優は客席のリアクションを得、本公演につなげていこうというものです。
「クリオネ 第一幕・第一稿」とはその作り方をやろうという試みであり、上演です。文字通り、一幕、そして私は常々随分と推敲の回数が多いのですが、あえて初稿を披露してしまおうということです。それで様々なリアクションを得て、二月への参考にしたいと思っています。リーディング、ポスト・ショウ・ディスカッションが東京に定着したように、このような新作戯曲を上演する上での手続き、過程が根づけば戯曲の可能性も広がるのではないかと思う次第です。
さらに今回の上演はそれぞれ演劇環境の違う三グループが同じ台詞をいうという仕掛けもあります。多少混成にもなるとは思いますが、これによって交流を実現させ、日芸のみなさんは美しく育っていただき、俳優さんたちは各々新しい発見を得られることを希望します。
とにかくまったく新しい試みなので正直なところ私にもまだ不明のところが多いのですが、ワーク・イン・プログレスの新形式として注目していただければ幸いです。
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