彷徨亭日乗〜川村毅の日記〜

川村毅
彷徨とは精神の自由を表す。
だが、そんなものが可能かどうかはわからない。
ただの散歩であってもかまわない。
目的のない散歩。
癇癪館は遊静舘に改名する。
癇癪は無駄である。
やめた。静かに遊ぶ。
そういった男である。
■十月某日
No.1778

都内で打ち合わせ。

その後、『カポーティ』を見る。

期待したほどではなかった。おもしろいのは映画のせいでなくて、カポーティ自身のキャラクターね、やっぱり。離乳食にウイスキーたらして食べるシーンが秀逸。

それにしても、カポーティの著作は十代の頃一時凝ったからほとんど揃えているが、『冷血』の古い訳は今読んでもほんっと読みづらい。ペリーの一人称が「わたし」はないだろう。

■十月某日
No.1779

執筆。

日ハムリーグ優勝。しっかしヒルマン監督の感想、「シンジラレナーイ」を連発、最後には「1、2、3、シンジラレナーイ!」はないだろう。優勝信じていたファンの立場はどうなる。英語のunbelievableを直訳したのだろうが、ちょいと英語のニュアンスとは微妙に違う、つまり英語だと賞賛の意味もあると思うのだが、日本語だとちょっとね、というところなのだが。

■十月某日
No.1780

原稿書き出すもやる気起こらず。

マルクス兄弟の『オペラは踊る』をひっかける。

大学の院生の卒業公演『ニッポン・ウォーズ』のチラシ原稿が送信されてくる。

杉原の演出でキャストもなかなかのメンバーだ。

折しも北朝鮮の核実験で世界はまた『ニッポン・ウォーズ』上演にふさわしい時代を迎えてしまった。

こちらはこちらで『黒いぬ』の台本製本が上がる。

■十月某日
No.1781

秋晴れ続くも、体調は最悪。なにやら夏の疲れがどっときている感じで、原稿ままならず、しばし善福寺公園を散策。恐らく傍目にはリストラされた呆然とたたずむ男に見えることだろう。

■十月某日
No.1782

近所でいい蕎麦屋を発見。

■十月某日
No.1783

予告編を見て気になっていた『ゆれる』を見るが、これが当たり。

脚本がいい。ここに描かれていることは、私の『神なき国の夜』と通底する。

オダギリジョーもいいが、香川照之が抜群の演技力を見せる。ちょっとアンソニー・ホプキンスを思わせるほどにいい。

観世さんと新宿で落ち合う。

池林房、どん底、新生ナジャとバーホッピングをして、ほとんど前後不覚。

■十月某日
No.1784

二日酔いでまったく使い物にならず、終日寝ている。

自分でも呆れるほどによく眠れる。やはり体が疲れているのだろう。

二十時間は眠っていたのではないか。

■十月某日
No.1785

復活。いろいろ雑事。

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