彷徨とは精神の自由を表す。
だが、そんなものが可能かどうかはわからない。
ただの散歩であってもかまわない。
目的のない散歩。
癇癪館は遊静舘に改名する。
癇癪は無駄である。
やめた。静かに遊ぶ。
そういった男である。

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■三月某日 No.941
『牡丹と薔薇』最終回。つまらない。最後にドーンとどんでん返しが欲しかった。

原稿を書き終えて、フロッピーを郵送。今やワープロ使用者は珍しくなってしまったらしい。愛用しているワープロは手放せない。これが壊れたらどうしよう。

夜、朝日カルチャーセンター。

夜中まで飲み屋で飲む。

■三月某日 No.942
『ロード・オブ・ザ・リング二つの塔』を見る。集中して疲れる。

サウナでいかりや追悼のドリフ番組を見る。何をいっているのかわからない高木ブー、ダイジョブカア。

夜、キャンバスに向かう。

■三月某日 No.943
『クリオネ』の顔合わせが大山サイスタジオで。

第三エロチカ、文学座、日芸の面々そろい、壮観だ。書く気、やる気が増す。おもしろくなりそうだ。とにかくわいわい色々な人がいていい。

帰ろうとすると私の靴がない。多人数だから、誰かが間違えたらしい。似た靴が一足残されている。他人の靴をこのまま履いて帰るのは気持ちが悪い。大騒ぎ。文学座に連絡網を回すかという声も上がったが、私は即座に第三エロチカの団員Aだろうと判断。そこでAがいるらしい近くの飲み屋に行くと案の定。狭い店は満席でAは座敷で飲んでおり、開けるとすぐ目の前に靴を発見。いきなりわあわあ言うと他の客のオヤジども笑う者あり、喧嘩かとかまえる者あり、大騒ぎ。Aは緊張してのぼせて靴を間違えたのではなかろうか。

■三月某日 No.944
執筆開始。

中野へ。その後、武蔵野ホールで『十一人の侍』を見る。さすが最後の大殺陣は見せる。

新井薬師で花見。

かつて住んでいた周辺を散策し、当時からあった路地の鰻やで頼むと注文されてから鰻を裂き、さらにうな丼ならば今から米を炊くので一時間かかる。持ち帰りの鰻だけなら3、40分という。では蒲焼を、と注文し、時間つぶしに哲学堂まで足を伸ばし、夜桜を見る。

鰻をピックアップして帰る。不思議な鰻やである。

■三月某日

No.945

執筆。
■三月某日 No.946
『透明人間の蒸気』を見る。野田氏の芝居を見るのはおよそ20年ぶりではないか。今回、手塚さんの招待で行った。

それにしても野田氏の劇に六平、有薗が出ている光景とは本当に時間のマジックである。時間のマジックという言い方は実は『週刊プロレス』の元編集長ターザン山本が書いていたものである。

衣装を担当している日比野克彦氏とも10数年ぶりに再会。

かつて成人の日の記念イベントで島田雅彦と三人で池袋でトークをやったという仲。

観劇後、野田、手塚、日比野、有薗諸氏と飲む。宮沢りえちゃんも一緒。それにしても80年代にデビューした連中ってのはしぶとい。みんな、チャーミング。

ひさしぶりに有薗酔いを見る。こやつもしぶとく生きておる。

■四月一日 No.947
映画千円デー。『殺人の追憶』を見る。

期待したほどではない。

この警官達、間抜けだな。

■四月某日 No.948
執筆。

夜、朝日カルチャーセンター。控え室に行くと、かつて担当だった雑誌編集者N氏がいる。氏は小説の講義を担当しているという。いやはや、ここ数日昔の知り合いとよく会う。

今回でカルチャーセンター、終了。

焼き鳥食べて『風花』に行くと、ここでも新聞記者某氏と久々に会う。

酔っ払う。

数年ぶりにゲロ吐く。

■四月某日 No.949
執筆。

『恋愛適齢期』を見る。ジャック・ニコルソン、ダイアン・キートンの共演となれば見逃せない。大好きなふたり。

面白かった。こういう映画を見ると年をとるってのは悪くないと思う。なんかホント、ガキの恋愛物なんざ見たくないね。だって燃え上がって結ばれましたったってその後が長いんだもん、それを書かなきゃ。

帰ると小説が掲載されている『すばる』が届いている。

■四月某日 No.950
一日中雨で具合が悪いことおびただしい。

それでもキャンバスに向かい10号の風景画がほぼ完成を見る。黄色を主にしたなんかキジルシの絵だ。

■四月某日 No.951
執筆するも調子が出ず、途中で諦めて天気がいいので散策して花見。

国分寺ラドン温泉に行くも去年の7月31日付けで閉館の貼り紙。大ショック!

よろよろと帰り、そのまま寝込む。

■四月某日

No.952

執筆。

夕刻、小滝橋通り、北新宿を散策。かつて住んでいたアパートはまだあった。

『青葉』で夕食。

■四月某日 No.953
執筆。

夜、『タカダワタル的』を見る。高田渡もさることながら柄本明って人も今や不思議な独特のポジショニングの俳優さんだな。

イラクで日本人三人人質の報。

■四月某日 No.954
執筆。

夜、『ドッグヴィル』を見る。

さすがラース・フォン・トリアー、実におもしろい。

執筆でくたびれており、確実に寝るなと思っていたがオメメパッチリ。

ニコール・キッドマンはえらい!あと出ている俳優でジェームズ・カーン、ベン・ギャザラはわかったが、まさかこの人と思っていたらタイトルロールで本当にローレン・バコールだったのでびっくり。

後味の悪さとぎりぎりのカタルシスが最高だ。トリアー、よく勉強してるね、ゴタールにブレヒト、フィルム・ノワールね。興奮した。

■四月某日 No.955
執筆。

en-taxiは中身が濃く、相変わらずおもしろい。

深夜、テレビでピーター・ボグダノビッチの『おかしなおかしな大追跡』を見る。確かこれが大コケにコケてボグダノビッチは以後干されることになったと記憶しているのだが。間違っていたらごめん。『ペーパー・ムーン』はまだこの前だったと思うのだが。今見るとなんとなく笑えないギャグが、笑えないという理由で笑える。

映画の途中、イラクの人質を解放するという一報。

背後に日本赤軍がいるのではという憶測は妙に納得させられる。声明文の調子、論旨が日本人的なのだ。今回の解放するから日本国民は日本政府に自衛隊撤退を迫れという要求は実に赤軍的だと思うのだが。

■四月某日

No.956

執筆。がんがん書く。

『くたばれ!ハリウッド』を見る。

■四月某日 No.957
執筆。

テレビで深夜、新しい『ウルトラQ』を見る。まあまあがんばっているが、こういう心理ものだけでなく、やっぱ怪獣出してほしいな。かつて石坂浩二がやっていたナレーションを佐野史郎がやっている。がんばれ佐野!

■四月某日 No.958
執筆。

『エレファント』見る。レディースデーにぶちあたり、立ち見も出ている。なんちゅうことない映画だが、捨てがたい。まあなんちゅうことなさを狙っているわけだが。

夜、新しい『鉄人28号』を見る。テレ東深夜はリバイバル・リメーク・シリーズなのだな。

■四月某日 No.959
起きたとたん、さらに日本人ふたり人質の報。鷺沢萠自殺の報。横山光輝、火事で重体の報。

サウナから出ると人質解放のニュース。

いわば反政府活動をしていた人が政府によって救出されたというこのケースはいろいろ議論の余地がある。

飲み屋のけんかで流血沙汰になったとき、警察を呼ぶか、裁判に訴えるかという問題もしばしば新宿界隈では勃発するのだが、これとは関係ないか。

夜、キャンバスに向かい風景画を完成させる。絵を描いていると頭が空になっていい。

■四月某日 No.960
『クリオネ』第一幕・第一稿を書き上げる。

夜、文学座で『中二階な人々』を見る。まあなにもいわないでおこう。

新宿で寿司を食べる。酔っ払う。

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