彷徨とは精神の自由を表す。
だが、そんなものが可能かどうかはわからない。
ただの散歩であってもかまわない。
目的のない散歩。
癇癪館は遊静舘に改名する。
癇癪は無駄である。
やめた。静かに遊ぶ。
そういった男である。

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■五月某日

No.681

稽古。

第二ステージ終了。

取材一件。

衣装打ち合わせ。映像打ち合わせ。

東京スポーツは侮れない新聞で、同様にアサヒ芸能とか週刊大衆とか週刊実話も馬鹿にできないのは、はっとさせられる事件記事などが載っているからなのだ。

これは東スポの記事からで、バヌアツ共和国という国の領土にエロマンガ島という島があるそうだ。

同じ種類にオランダにスケベニンゲンという町があり、銀座かどこかにこの名をとったレストランがある。けっこう旨い料理を出すらしく、かつて石田純一がニュースキャスターをやっていたとき特集を組んでいて、当時「不倫は文化」発言でバッシングを食らっていた石田がやたらスケベニンゲンを連発するそのニュースは、聞いていた人誰もが「おめえのことだろがっ」とテレビの前で突っ込みを入れていたと思う。

東スポによれば、この手のものとしては他にチンコ川(中央アフリカ)、ヤキマンコ(モスクワ内の町)があるという。

モスクワのヤキマンコというのはえぐいな。スターリン時代の拷問だったりして。おっと不謹慎、不謹慎。
■五月某日

No.682

稽古。第二ステージ終了。ほぼキャスティング固まる。

『山利喜』で飲む。
■五月某日

No.683

朝日カルチャーセンター。
■五月某日

No.684

第三ステージの始まり。
■五月某日

No.685

稽古。

帰り、遊びに来た早稲田の元学生と『みの家』で馬をばかばか食う。
■五月某日

No.686

稽古。

夜、三茶で打ち合わせ。
■五月某日

No.687

第三ステージ終了。

衣装、美術打ち合わせ。

:劇団員との話し合い。等々

さあて、まだまだこれから、いろいろ。

ああ、さすらいの人生!
■五月某日

No.688

なんとなく休みになった一日。

銭湯のサウナでびっしびし汗をかく。

『まぼろし』を見る。シャーロット・ランプリングの美乳が健在なので感激。

彼女のプロモーション・ビデオみたいな映画だが、ぼくは彼女が出ているだけでいいので大満足。年をとっても太りすぎず、やせすぎず。彼女がこの映画のために来日したとき、囲む会みたいのがあって招待状ももらっていたんだけど、どうせわあわあしているだろうからと思っていかなかったのが悔やまれる。

夜、グラッパをばかばか飲む。
■五月某日

No.689

急遽、最後の一人枠、ダンサーを決めるのに森下へ。

オーディションで決める。これで12人のキャスティングが決定した。

みんな『ハムレットクローン』、来て来て来て来て来て。見て見て見て見て。

『ボウリング・フォー・コロンバイン』を見る。

面白い。目立ちたがりの社会派、というか社会派ってもともと目立ちたがり屋なんだよな。だから社会派といえどもみばが大事で、その点マイケル・ムーアって、なんかそこいらのオタクみたいでいいよなあ。なんか最後のチャールトン・ヘストンとの対決もとぼけてるし。これで監督の外観がいかにもくそまじめな左翼みたいなやつだと一気に白けるわけだ。

この映画、『ロスト・バビロン』と同じテーマだな。あの戯曲を書く際にはアメリカの銃社会についてたいそう学習したものだった。
■五月某日

No.690

うんうんうなりつつ執筆。

小泉首相がブッシュの家でテキサス料理をごちそうになったというが、どうせ硬いステーキにマッシュドポテトに、大味のドレッシングのサラダに甘いだけのパイ、ひたすら甘いアイスクリーム、薄いコーヒーってなところだろう。

で、居間に移ってコニャックに葉巻だろうか、まさかキューバ産じゃないだろうから、駄目ね。

夜『タモリ倶楽部』を見る。
■五月某日

No.691

朝から執筆。今日はすこぶる快調で夕刻、新宿をぷらぷら歩く。

夜『ER』を見る。ビデオは借りずにあくまでテレビで追う。ほんとにこれは飽きない。グランド・ホテル形式の展開が上手い。なぜ日本のドラマがこのテンポを獲得できないかというと、このテンポに追いついて的確な演技ができる俳優がいないからだ。医療言葉の会話も無理なんじゃないの。最近NHKの大河とかに出てる若者には。
■五月某日

No.692

『プレッジ』を見る。公開当時見逃していた待望の映画。

ジャック・ニコルソンがデル・トロ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ミッキー・ローク、サム・シェパード、ハリー・ディーン・スタントンといった俳優達と向き合っているのを見るだけで涙が出る。大好きな俳優達ばかり出てくる。

ショーン・ペンは男の鬱状態を描くのが実にうまい。彼はイーストウッドの後継者であり、アメリカ映画の良心を担う監督だ。こうした映画にしっかり出てくるニコルソンってのは、ほんっと偉大で幸福者だ。

夜、SARS対策のテレビを見る。もし東京に上陸したら興行はおしまいだよ。

超感染源男、スーパーストレッダー、中国名・毒王っていい草がすごいね。毒王とは友達になりたくない。でも『毒王』って劇のタイトルになりそうね。

どうでもいいけど朝青龍ってあの目で見えてんのか。
■五月某日

No.693

執筆

『スパ!』の「アナルの尊敬語は黄門様」という記事が頭から離れない。

誰かが第三エロチカのことを「由緒正しいアングラ劇団」と称したというが、アングラ劇団というのは、べたべた集団で行動するのが好きで貧乏自慢が得意な大根役者集団のことであって、第三エロチカの場合、最後の部分が当てはまるだけなので、この呼び方は正しくないのである。
■五月某日

No.694

執筆。

夜、美術打ち合わせ。
■五月某日

No.695

『バーバー』を見る。コーエン兄弟というのは普通の監督だが、どうも本人たちはそう思ってもいなさそうなところが、いつもちょいと鼻につく。

ポスター、チラシが出来上がる。

それを抱えて久しぶりに京都へ。四条のホテルに泊まる。近くのなんてことない定食屋に入ったところ、そこのだしまきとか煮込みとかけっこうおいしく、冷やで二合飲み、気勢が上がる。一日の終わりに上げても仕方ないのだが。
■五月某日

No.696

午前中、大学に行き、伊藤氏と打ち合わせ。その後、一時から春秋座で『茶壷』を見る。三津五郎っていいよなあ。

帰りの新幹線で大熟睡し、起きたとき一瞬自分がどこにいるのかわからなかった。

スケベニンゲンとかエロマンガ島とかが頭から離れない。そういえば、以前鐘下氏の『カストリ・エレジー』のことを話していた折り、みんな異様に変な顔をするのでなんでだろうと思っていて、しばらくしてはっと気づいたのは、私は無意識に『スカトロ・エレジー』といっていたのであった。品性を疑われる。困ったものだ。

NHK教育テレビのロシア語会話は、何かすごいもん見たという充足感を覚える。
■五月某日

No.697

朝日カルチャーセンター。今年、最後のワークショップ。
■五月某日

No.698

稽古。

夜まで映像打ち合わせ。

ぐったりとしてシングルモルトをばかばか飲む。
■六月一日

No.699

アンゲロプロス『永遠と一日』を見る。実はこれはいろいろ事情があってメルポルンで最後の30分を見れている。小雨に濡れた舗道を深夜バスが走り、『こうのとり、たちずさんで』で出ていたでかいコート着てんのが自転車で走るシーンには涙が出たものだった。

『笑点』の収録にいって冒頭の円楽の隣に座っていてみたい。

就寝前、理由のないままひどく気分が落ち込む。
■六月某日

No.700

執筆。

『イン・ザ・ベッドルーム』を見る。なんということのない映画だが、なかなか捨てがたいものがある。

夜、NHKスペシャルで『“よど号”と拉致』を見る。NHKのこの手のドキュメントは顔写真のアップ、さらにぼかしの入った関係者の顔写真を多用し、それが妙に不気味で怖い印象を与える。子供の頃、本当に怖かったという記憶がある。しかも大抵BGMはおどろおどろ系である。アメリカのテレビのドキュメンタリーの機能的なさくさくとした作り方と比べるとおもしろい。どちらがいいかはわからないが、とにかくこの番組を信じる限りはよど号メンバーって何やってんのよ、という悪役作りには完璧に成功している。

ほんと、何やってたわけ。ガキで仕方なかったわけか。

遅くなってすき焼きを食べる。

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