|
|
|
|||
|
|||
◆
|
稽古もラスト・スパートのある日。 ラストシーン近く、首塔(手塚さん)と対峙する、国仲(ルーさん)がハラハラと泣く。みんな少し驚き、もらい泣きする。 そこにはTVでの「ルー大柴」ではなく、俳優・ルー大柴、いや「国仲誠一郎」がいた……。 そんなこんなで、今回は、ルー大柴さんインタビュー。テレビでの印象が強いが、元々は舞台志望のバリバリの演劇青年だったそうだ。その気持ちは今でも変わらないという。 舞台がやっぱり最高。 と、言い切るルーさん。 毎日毎日、変化していく舞台の緊張感はスリリングでたまらない。 そう、ルーさんは他の誰よりも役を楽しみながら演じているような気がする。活き活きと台詞を喋るルーさんの表情からは、舞台に対しての熱い想いが滲み出ている。 今回『クリオネ』でルーさんが演じるのは、映画監督の国仲誠一郎。『クリオネ第一幕・第一稿』のワーク・イン・プログレスから、公演の経緯を見させていただいている私にとって、この役をまさかルーさんが演じるとは想像もしていなかった。 俺もビックリしている。スケジュールが詰まっていたので最初はお断りしようと思ったんですけど、台本を読んで気が変わった。ほら、俺ってキャラクターの役柄があるじゃないですか。国仲って、今まで演じたどの役とも違う。これは、みっけもんだと直感した。 国仲誠一郎=ルー大柴。この斬新なキャスティングは、確実にアタリだ。実際、テレビのルーさんしか知らない人にぜひ観てほしい。ルーさんの熱演に、良い意味で裏切られるはずだ。ルーさん、国仲って、どんな男ですか? クレイジーなとこだね。そこが魅力。殺人の映画しか撮ってないわけじゃない。それは変な話、偏った感じなんだけど一種の天才肌みたいなところがあって。それより、もっと天才肌なのが首塔(手塚とおる)で、そこに国仲は惹かれていく。その国仲の葛藤が非常に面白い。 きたきた。そう、『クリオネ』の見所のひとつに、手塚とおると大柴とおる(ルーさんの本名)の葛藤がある。このいわゆる<2005年Wとおるの戦い>は、後世、演劇史の教科書に刻み込まれる事になるだろう。 ただ、やはり国仲の「長台詞」は大変だとルーさんは、語る。『クリオネ』の登場人物はみな、色々な過去と同時に膨大な台詞を背負っているのだ。 今日だって、おっかなびっくりでやっていた。ただ俺の座右の銘が、<恥かけ 汗かけ 涙しろ>なんで、役者はやっぱり言われなきゃどうしようもない。そんなカッコつけたりしても、良い作品なんかできるわけがない。俺は下手な役者だから、ただひたすら一生懸命やっている。 ジーンときてしまった。ちょっと泣きそうにもなる。そのルーさんのモチベーションは、確実に演技にも表われている。稽古の一時間前から稽古場に来て、じっと静かに台本を読むルーさん。休憩中もスタッフとの打ち合わせに余念がないルーさん。そのテレビのルーさんからは想像できない演技に対する真摯な姿勢には敬服してしまう。最後に観に来ていただくお客さんに一言、お願いします。 え、これってルーなの? っていう驚き。いや、驚かねえか。なんかその、たまにはこういうヘビーな芝居も味わってくれってとこかな。他の皆さん芸達者だからさ、そんな色々なアンサンブルの中で自分の<見せ場>がつくれているかどうかだね。 ニヤリと笑うルーさん。コワイ顔、デカイ声……、でもこの人なつっこい笑顔は愛される人のそれだ。……「国仲」の笑顔だ! 断言します。きっとスズナリと精華小劇場で、いつものルーさんじゃないルー革命は起こります。みなさんもぜひ、劇場でルー革命を実感してください。 ルー大柴 PROFILE 故三橋達也氏の付き人を経て勝アカデミー第一期生となり故岸田森氏に師事。 * 次回の稽古場レポートは、スズナリでの仕込みの様子、本番前の出演者の表情をお伝えする予定です。 まもなく開幕です! |
*
クリオネ公演情報 |
©2002-2005,Tfactory Inc. All Rights Reserved. |