「創造者と観客を繋ぐ場」として「演劇を志す若者の鍛練の場」として
サイスタジオのご理解・ご協力のもと、試みを重ねてきています。 


'99 「ハムレットクローン −ワークインプログレス−」

ハイナ−・ミュラー作「ハムレットマシーン」を現代日本版に再構築するためのー年間かけてのワークショップ、新人による試演。

'00 「近代能楽集 −ワークインプログレス−」

三島由紀夫の同作を新人3グループによる試演。全稽古をー般公開。

'01 「ニッポン・ウォーズ」

初期の代表作を初演時の演出で作るリバイバルバージョンと現在の批評性をもって新たに構築したニューバージョンの2つの公演を上演。

'02 ドラマリーディング「フィロクテテス」

作・演出ジョン・ジェスラン。京都造形芸術大学の研究・主催として川村毅・ティーファクトリーが制作協力。



吉田悦子氏と川村毅

2002年夏公演そして2001年夏「ニッポン・ウォーズ」公演にお寄せ
いただいたサイスタジオ主宰、吉田悦子氏の一文をご紹介します。

’02年夏 サイスタジオ公演によせて

この春、劇団第三エロチカは、ティーファクトリーと社名を変更しました。つまり、ティーファクトリーの中に第三エロチカセクションとティーファクトリーの名称で行うプロデュースセクションとを内包するカンパニーとして発足したと聞いております。

周辺には唐突に映ったかもしれませんが、これは劇作家川村毅氏としては、相当以前から胸中に生まれた課題だったのではないかと推察致します。

近年の彼の作品を垣間見るに視野の広がりと高さが顕著になったように感じていましたし、劇団第三エロチカ的パワーとは少し異なったエネジー・・つまり人生の「志し」がはっきりしてきたような感じがありました。

ですから、今回の選択は全体にとってステップアップのよい機会になる事だろうと思いますが、劇団員にとっては、些か納得出来ない心情もあったのではないでしようか。

川村毅の第三エロチカゆえに共に来た思いや、ゆえに劇団に参画した思いなどが交錯し、心中整理するには多くの時間が必要だったことでしよう。

人はあるアクションを経験し、自分のリアクションから己を発見します。場合によってはこれが生きることの意味と言えるかもしれません。

今回は、いわば第三エロチカ劇団員にとっては、積み上げたであろう実力で勝負する記念すべき公演と言えるでしよう。

企画、制作、出演を劇団員の創意と協力でどこまでやれるか、「川村毅の第三エロチカ」から「川村毅と第三エロチカ」となれるか。

失敗を恐れず、逞しく貪欲に頑張って欲しいと心よりエールを送ります。

サイスタジオ 主宰 吉田悦子

2000年サイスタジオ公演より
(宮内勝 撮影)

1999年サイスタジオ公演より
(宮内勝 撮影)

’01「ニッポン・ウォーズ」公演によせて

サイスタジオ主宰 吉田悦子

言わば公演へ向けてのはかどり具合の稽古を公開するという「ワークインプログレス」を、第三エロチカと共に開始したのが、三年前の1999年夏でした。

これは第三エロチカにとっても、サイスタジオにしても初めての試みであり、演技者には過酷な要求であり、演出家はノウハウを明かす事を是とする勇気ある試みでした。

しかし、全員果敢に取り組み驚くほどの実力をつけたように思います。

当初聞きなれない「ワークインプログレス」も、市民権を得て他劇団や劇場催事でも時々目や耳にするようになりました。

さて、今年のワークインプログレス延長線上にある本公演は、サイスタジオ大山を拠点といたします。

出し物は封印された幻のニッポン・ウォーズ。17年前の発想に、時代がようやく追いついた感があります。初演時演出のリバイバルバージョンと現在時で演出するニューバージョンの2タイプでの公演ということです。

初演以来次々と作品を生み出しつつここに至りし川村氏の情熱と、混沌を胸に滾らせた23歳の川村青年のパッションとの言わばプライベートバトルで、熱い熱い夏が期待されます。

私どもサイスタジオは、この記念すべき公演に提携参加出来る幸せを心より感謝いたします。

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